2017/01/14
物件のチェックポイント ⑤ 築年数
不動産を内見する前に、販売図面、ポータルサイトの画面から読み取れる情報の読み方のご紹介です。
⑤築年数
過去の日本の不動産マーケットにおける建物の評価は税金の減価償却費を計算するために用いられる耐用年数(例 木造20年 鉄筋コンクリート47年)の影響を受け特に木造一戸建ては20年を経過するとほぼ、無価値と評価されることが多かったです。
減価償却費を計算するために設定された耐用年数と建物が物理的に使用に耐えうる耐用年数は当然違うので、鉄筋コンクリートは一説によると100年は持つと言われています。
現在はインスペクション(建物検査)やリフォーム、耐震補強技術の向上のおかげでだいぶ築年数の古い建物への誤解や心理的な抵抗も下がってきているとは思いますが、まだまだきちんとした評価はされていないのが現状です。
日本の建築基準法の規制が大きく変わった(規制が厳しくなることによって、建物のスペックが上がった)のが昭和56年の建築基準法の改正です。
この年の6月以降に建築確認申請をして建てられた建物を「新耐震」、これより前の建物を「旧耐震」と呼びます。
これによって、地震が起こった際にどのくらいの震度まで耐えられる建物なのかという前提が変わりました。
旧耐震基準では、「震度5程度の地震に耐える建物」という事が前提となっておりましたが、新耐震ではこれが「震度6~7程度の地震でも倒壊崩壊しない」というスペックが求められるようになりました。
国をあげて耐震補強を積極的に推奨しているので、「旧耐震建物は危ない」という事がすりこまれ過ぎている感がありますが、旧耐震の建物だって立派に建築確認を取った合法な建物です。
東日本大震災においても、建物が倒壊した「大破」は新耐震、旧耐震ともにゼロ、中破で約5%程度の差です。
地震に対するリスクは建物の頑強さに加えて地盤の良し悪しも多いに影響しますので、新耐震で地盤が悪いところに建っている物件の方が旧耐震で地盤が良いところに建っている物件よりリスクが高いという事象も起こり得ます。
個人のリスク許容度や、予算との兼ね合い、立地条件によって旧耐震でも良いという判断も当然あるとは思います。
条件的な制約がなく、どうしてもスペック的に新耐震の建物(または、旧耐震で耐震補強をしている建物)でないと安心できないという場合にはじめて新耐震の建物でないと検討しないという選択肢を選べばよいのかと思います。
その場合、マンションの場合だいたい建築に2年程度かかるので、築年数で条件をソートするときは昭和58年以降の竣工、一戸建ては3ヶ月~半年が一般的なので昭和57年以降の建物で探せばおそらく新耐震で建てられた物件のみが候補にあがってくると思います。(あくまで建築確認申請の日付が基準なので、詳細に検討する際は建築確認台帳までチェックしなくてはなりません)
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